ハーベスティング・ワークショップ(2023年12月)

ナラティヴ・セラピー・ プラクティス・シリーズ 2024
2023-10-23
ナラティヴ・セラピー実践トレーニングコースの選考方法について
2023-11-07
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ハーベスティングとは、収穫するという意味です。

ナラティヴ・セラピーは、問題をどのように解決するのかということだけでなく、新たに出現した話(オルタナティブ・ストーリー)をどのように発展することができるのだろうかということにも取り組んできました。これは、今までの取り組みをしっかりと認証し、これからの可能性に思いを馳せることに実に適したアプローチとなっています。

一年の終わりに、この一年間取り組んだこと、やろうとしてきたこと、願い続けたことなどを振り返り、来年のことに思いを馳せるためのワークショップを企画しました。

ナラティヴ・アプローチで、一年を振り返りたいと思われる方は是非とも参加してください。
なお、このワークショップに参加するにあたって、ナラティヴ・セラピーを学んでいる必要はありません。

日時:2023年12月24日(日)9時半~16時半
開催方法:オンライン(ZOOM)
参加人数:40名程度
参加費:8000円(税込)
ファシリテーター:国重浩一、横山克貴、白坂葉子
申込先:https://npaccharvesting202312.peatix.com
主催:ナラティヴ実践協働研究センター

ワークのプロセス

以下に当日行うワークのプロセスについて記載しておきます。NPACCが主催するとなると人件費などがかかってくるため参加費をお願いしていますが、以下のプロセスを用いて、同僚や仲間とハーベスティングを試すこともできます。

取り組みの成果をしっかりと語ってもらうこと

対人支援者として私たちは、問題の原因、結果、影響などについて話をすることに取り組みます。一方で、問題を乗り越えつつあったり、問題を乗り越えた時に、そのことについてしっかりと話してもらうように取り組むことの必要性や大切さについて、あまり語られないので、あまり取り組むことはありません。

ハーベスティングが必要となる場面

・ カウンセリングの時々で取り組みの意義を確認していくとき
・ カウンセリングが終結に向かうとき
・ 人の経験や学びをしっかりと語ってもらう必要があるとき

ハーベスティングのプロセス

1.役割を決める。

3人のグループになり、話し手、聴き手、聴衆の役割を決めます。なお同じプロセスを役割を変えて3回行いますので、すべての役割を経験することになります。

2.聴き手が話し手に尋ねる

①「この一年間取り組んだこと、やろうとしてきたこと、または願い続けたことなど」を語ってもらう(行為の風景)
質問例「この一年間、思い返せば取り組んできたこと、やろうとしてきたこと、またはやりたいと願っていたことなどがあったかと思います。この中で、〇〇さんにとって、特に際立ってみえるものを教えてください。それは、どのようなことでしたか?」
聴き手は、話し手がより自身のことを語れるように、好奇心を示しながら聴く。「もう少し教えてください」「そこをもっと語ることができますか?」などの声かけによって語りを促す。

②「特に際立ってみえること」についての意味や意義を表現してもらう(意味の風景)
質問例「今お話しいただいたこと(特に際立ってみえること)は、○○さんにとって、どのような意味や意義があったことなのでしょうか?

③「特に際立ってみえること」が、どのような過去とつながっているのか表現してもらう(再著述、リ・メンバリング、過去の経験をめぐって)
質問例「このこと(特に際立ってみえること)は、〇〇さんのこれまでの経験とどのようにつながっているのでしょうか? このことがこのように重要な意味や意義を持っているというのは、〇〇さんのどのようなところから来ていると思いますか?」

④「特に際立ってみえること」が、将来にどのような違いを生み出すのかを表現してもらう(再著述、将来に向かって)
質問例「このこと(特に際立ってみえること)は、〇〇さんの近い将来にどのような変化をもたらす予感がありますか? このことは、〇〇さんを今後どのような場所に、あるいはどのような方向性に誘っていると感じますか?」

⑤「特に際立ってみえること」が、他の人にどのような影響を及ぼす可能性があるのか語ってもらう
質問例「このこと(特に際立ってみえること)は、(たとえ取り組んではいなかったとしても)、他の人にどのような影響を与えうると想像できますか?
質問例「○○さんが語ってくれたことを他の人が聞いたとしたら、どのような側面を受け取り、どのようにエンパワーされる可能性があると想像できるでしょうか?」
質問例「このことは、〇〇さんと同じような状況にある人に、どのように役立つ可能性があるでしょうか?」

3.聴き手は、聴衆に尋ねる

質問例「話し手の語りは、あなたの心の琴線(きんせん)にどのように触れたのでしょうか?」(注:「琴線」とは、「感じやすい心情。心の奥に秘められた、感動し共鳴する心情」のこと)
質問例「このような話を聞くことができたのは、あなたの今後の臨床活動、または人との特別な場面での関わりにおいて、あなたをどのような場所に誘ってくれていると思いますか?」
聴き手も、語りたくなっているのであれば、自分の心の琴線にどのように触れたのかについて語る。

4.聴き手が話し手に尋ねる

質問例「あなたの語りが、わたしの心の琴線に触れたことを聞いて、あなたにどのような影響があったのでしょうか?」
質問例「このように、一連の質問に答える形であなた自身のことを語ることは、あなたにとってどのようなことだったのでしょうか?」