ナラティヴ・セラピー実践トレーニングコース(パイロットコース)

トレーニングコース要項のPDF版はこちらからダウンロードしてください

【ナラティヴ・セラピーとは…】

オーストラリア人のマイケル・ホワイトとニュージーランド人のディヴィッド・エプストンという、2人のセラピストの貢献を中心に形作られた治療的枠組みのことです。これは、精神医学や心理学の疾患名や障害名、分類のような見方から人を理解するのではなく、すべての人には自分の人生を生き抜いていくことができる資質、能力、可能性があるのだと考え、会話を通してそのような可能性を探っていくアプローチです。

【このコースが目指す到達地点】

このコースは、ナラティヴ・セラピーの哲学的な姿勢と基本的な技術や言葉遣いを対話によって学び、自分の一部としていくことを目指します。トレーニング修了後には、受講者の方が、それぞれの領域で自分なりにナラティヴの思想に基づいた実践を積み上げられるような土台が形成されることを目的とします。

【募集要項】

募集期間: 2019年3月17日(日曜日)まで(課題のエッセイの提出をもって、応募完了と見なします)
募集人数: 最大10名
コース受講費: 年28万円
受講応募先: http://u0u0.net/Q5n5
課題: エッセイ(最大6000字程度)
テーマ: 「私がナラティヴ・セラピーに見出す魅力」
応募条件:
☆ 2年間を通してトレーニングコースに参加できる人
☆ 多少なりともナラティヴ・セラピーに取り組んできた人
☆ 対人援助職に就いている方、あるいは援助を提供する立場としてナラティヴ・セラピーを学ぼうとする人
選考について:
パイロットコースということもあり、以下の点を優先的に考慮した選考をさせていただきます。
☆ これまでのナラティヴ・セラピーへの取り組み
☆ 応募時に提出いただいたエッセイ(書類審査での選考が難しい場合には、インタビューをお願いすることもあります)



【パイロットコース】について

ナラティヴ実践協働研究センター(NPACC)は、クラウドファンディングによる支援を受けて、一般社団法人として2019年3月に発足します。

広く対人援助の領域で活動する方々に、ナラティヴ・アプローチの専門的なトレーニングコースを提供するために、まずは、パイロットコースからスタートします。このパイロットコースの経験やフィードバックを反映して、2020年4月から正式なコースを提供する予定にしています。

パイロットコースにおいても、より対話的なニュージーランドのカウンセリング教育のスタイルをベースに、日本の文脈に合う形で構成し直した2年間のトレーニングコースを提供します。

なお、このコースにおいても最後に修了証を発行しますが、パイロットコースおよび正式コースともに「ナラティヴ・セラピスト」という肩書の認定書は発行しません。なぜならば「ナラティヴ・セラピスト」という名は、この土台をスタート地点とした試行錯誤の実践を続けることを意味するのであり、何らかのコース修了によって付与されるものではないからです。付け加えるならば、私たちは資格発行ビジネスに与したくないのです。

「ナラティヴの学び」とは…

ナラティヴ・セラピーは、社会構成主義やポスト構造主義の思想に貢献した哲学者や思想家のアイディアを背景とした哲学的な姿勢をヒントに、実践を作り上げてきました。そして同時に、会話実践をジャズの即興演奏に例えるなど、会話の持つ即興的で創造的なプロセスにもしっかりと目を向けます。

ナラティヴ・セラピーを学んでいくプロセスにおいては、その思想や哲学を理解する取り組みの中で、会話や相手、世界の見方を新たにしていく過程を要します。加えて、そのようなアイディアを、即興的で創造的な仕方で、自身の言葉遣いの中に反映させていく、実践の感覚や技術、経験に取り組んでいくことも必要となります。

このようなことは、「正しい知識ややり方を誰かに教わる」という形で、一朝一夕に身につくことはありません。「多くの文献やアイディア、実践に触れながら、自分で考え、実践して到達していく」プロセスが不可欠なのです。



本トレーニングコースの特長

実践とディスカッションの往還

このトレーニングコースでは、ナラティヴ・セラピーを理解するヒントとなるような、さまざまなコンテンツやワークに取り組みながら、みなで振り返り、ディスカッションしていく場を豊富に用意していきます。また、ナラティヴ・セラピーの会話をクライエントとして体験すること、その会話をそばで見て参加すること、会話自体を自分で試していくこと、そうした実践に触れる取り組みを多く用意していきます。こうした実践ベースおよびディスカッションベースの学びを行き来することで、受講者の方が自分で学びとっていくプロセスに貢献していきたいと考えています。

共にナラティヴと向き合う2年間

ナラティヴのアイディアや実践に集中的に向き合う2年間となります。それは、表面的には理解しがたいものにじっくり向き合ったり、新しいがゆえに違和感のある会話の技術や言葉遣いを体に馴染ませていくための時間となるでしょう。

そのような取り組みを自分一人だけで貫徹するのは、不可能ではないものの容易でもありません。同じものを学ぶ仲間やファシリテーター、学びを支える環境は、私たちが絶えず考え続け、話し合い、理解を進めていくために必要不可欠なものとなるでしょう。

実践とOW&R(オウル)チームによる学び

OW&R(オウル)チームとは、「アウトサイダーウィットネス&リフレクティングチーム」を呼びやすくしたものです。これは、OW&Rチームという第三の立場の人間が、カウンセラーと相談者のカウンセリングの場に同席し、適切なタイミングで会話に参加していくという、ナラティヴ・セラピーが提案する治療的実践です。

受講者は、このOW&Rチームに参加することで、実際のカウンセリングに同席し、そこにコミットしていく機会を得ることになります。これは、デモセッションやロールプレイ以上の学びの機会となると考えています。



トレーニングプログラム

このトレーニングコースは、二年間ですべてのカリキュラムに取り組んでもらうことによって、十分に学ぶことができるように設計されています。

パイロットコースにおいては、一年次は、年8回、計16日間の課程となっています。(正式コースでは、多少の見直しがあるかもしれませんが、基本的な構造は維持する予定です)

一年次課程

文献購読やさまざまなコンテンツのディスカッションを通して、ナラティヴ・セラピーのアイディアや実践の中核をなす、哲学や思想的背景への基礎的な理解を深めていきます。そして、実際に会話の練習やワークも行いながら、ナラティヴ・セラピーの持つ言葉遣いに少しずつ慣れていきます。また、受講者自身がクライアントとして、ナラティヴ・セラピーのセッションを受け、その内省や逐語の振り返りなども行っていくこと、OW&Rチームとして実際のカウンセリングに同席し、参加していくことで、実践への理解を深めていきます。

二年次課程

文献購読や会話のワーク、ディスカッションも進めながら、「ツリー・オブ・ライフ」や「修復的実践」などの、ナラティヴのアイディアが息づくさまざまな実践を通して理解を深めていきます。また、OW&Rチームに支えられながら、自分自身でもカウンセリング実践を行い、その逐語録やビデオの振り返りを通して、より実践的な学びに進んでいきます。そして、自分自身の関心についての自由課題に取り組むとともに、コース修了に向けた小論文(エッセイ)の執筆を行います。

豊富なアサインメント

16日間のプログラムに加えて、ナラティヴ・セラピーについてじっくり学んでいくためのアサインメント(課題)も豊富に用意しております。以下は、その一部になります。

  • 文献購読
  • 会話のワークやディスカッション
  • ナラティヴ・セラピーをクライエントとして体験し、そこからカウンセラーとしての考察に取り組む(一年次)
  • 自身の関心に基づく自由課題や、コース修了のための小論文(エッセイ)の執筆(二年次)



プログラム日程

一年次課程(一期生)

1:5/25, 26 イントロダクション:お互いとつながる/自分の声で語ること/コースの進め方など
2:6/22, 23 ナラティヴ・セラピーの実際に触れる(国重参加)
3:7/27, 28 私たち・支援者を形作るディスコース
4:9/28, 29 ナラティヴ・セラピーを取り巻く言語
5:10/19, 20 マップ1:外在化する会話
6:12/7, 8 デモンストレーションから接近する再著述(国重参加)
7:1/25, 26 マップ2:再著述する会話
8:2/15, 16 結局、ナラティヴ・セラピーってなに?
3/13金~15日 Extra合宿

Extra合宿

日程:2020年3月13(金)~15(日)

場所:未定(東京郊外か、長野あたりの予定)

トレーニングプログラムに必須のものではありませんが、このトレーニングコースに関わる人たちが一堂に会する合宿を、年に一度行おうと考えています。将来的には、受講予定者、一年次受講者、2年次受講者そして受講修了者が参加できたらと思います。ここは、どちらかと言えば、緩やかで楽しいつながりの中で、ナラティヴを学ぶ仲間と対話や交流の機会を十分持てるような時間となることを期待しています。

ファシリテーター

  • 横山克貴(臨床心理士 東京大学大学院修士課程修了 ワイカト大学客員大学院生として一年間滞在)
  • 白坂葉子(臨床心理士 鹿児島大学の臨床心理士養成のための専門職大学院卒)
  • 国重浩一(臨床心理士 ワイカト大学カウンセリング大学院卒)

(ファシリテーションは、基本的に横山克貴と白坂葉子が行い、適宜外部の実践者を招聘します。ニュージーランド在住の国重浩一は、帰国して一部の日程には参加しますし、適宜オンラインのセッションなどを提供します)

会場

NPACC事務所(場所未定、4月頃に入居予定、東京都23区内)

募集要項

募集期間:  2019年3月17日(日曜日)まで(課題のエッセイの提出をもって、応募完了と見なします)

募集人数: 最大10名

コース受講費:年28万円

合宿に参加する際の合宿費用、トレーニングコースで必要となる文献の費用などは含まれません。なお、二年次課程を受講する際の年間の費用も同じく28万円となる予定です。

応募方法: http://u0u0.net/Q5n5

応募に際しては、以下のテーマでエッセイを書いていただきます。

テーマ:「私がナラティヴ・セラピーに見出す魅力」(最大6000字程度、文字数は選考には影響しません)

補足説明:このエッセイを通じて、受講者のことを知りたいと思っています。ナラティヴに魅力を感じるためには、今までに大切にしてきたこと、思い、経験など、これまでのことがあったと思います。差し支えない範囲でこれからのことを綴っていただき、その上で、このナラティヴ・セラピーを学ぶことが、受講者のこれからの人生、職業、実践について大切なことになるのかについて教えてください。なおこのエッセイは、知っているナラティヴに関する知識を確認するためのものではありません。

上記のフォームから申し込んだ後で、次のメールアドレス(narrative@npacc.jp)にエッセイをお送りください。ファイル形式は何でもかまいません。

応募条件

  • 2年間を通してトレーニングコースに参加できる人
  • 多少なりともナラティヴ・セラピーに取り組んできた人
  • 対人援助職に就いている方、あるいは援助を提供する立場としてナラティヴ・セラピーを学ぼうとする人

選考について

パイロットコースということもあり、以下の点を優先的に考慮した選考をさせていただきます。

  • これまでのナラティヴ・セラピーへの取り組み
  • 募時に提出いただいたエッセイ

(書類審査にて選考が難しい場合には、インタビューをお願いすることもあります)

連絡先

ナラティヴ実践協働研究センター

メールアドレス:narrative@npacc.jp

担当者:横山克貴、白坂葉子、国重浩一

何か不明なことなどがありましたら、遠慮なく連絡してください。ナラティヴに興味関心を持っていただき本当にありがとうございます。