ナラティヴ実践協働研究センターの概要
Our Journey
2018年、「ナラティヴ・セラピー」というカウンセリングのアプローチに魅せられた数人の日本人カウンセラーが、ニュージーランドのハミルトンという町で出会ったところからNPACCのアイディアは生まれました。
当時、このアプローチは日本にはほとんど広まっていませんでした。しかし、一人一人の人生の歴史やその人の持つ価値観を大事にし、誰一人として責めることなく、人生の選択や考え方の新しい可能性を共に探していこうとするこの新しいカウンセリングのアプローチが、今の日本の対人援助の領域、特にそこでかわされる会話という営みに新しい風を吹き入れることは間違いないように感じられました。
そこから、このニュージーランドの田舎町で、夜な夜な集まっての話し合いが始まりました。ああでもないこうでもないと議論を重ね、志を共にする輪を拡げながら、この新しいアプローチをベースとする、実践、トレーニング、そして研究を含めた、多くの協働の可能性に開かれたカウンセリングセンターとしてNPACCの構想が形作られていきました。
- 2018年12月〜2019年3月: NPACC設立のためのクラウドファンディング・キャンペーン(みなさまの支援によって、1月25日で、目標金額に達成しました)
- 2019年3月末:一般社団法人の手続き完了
- 2019年4月3日:一般社団法人の事務所契約完了
- 2019年4月6日:NPACC発足説明会
- 2019年5月:NPACCナラティヴ実践トレーニングコース開始 & ナラティヴ・カウンセリングの提供開始
順次、「お知らせ」で、NPACCの活動の様子をお知らせしていますので、ごらんください。
私たちの信条(Mission Statements)
NPACC実践地図
Narrative Practice and Coresearch Centre (NPACC)
NPACCの実践地図(Practice Map)
NPACCは、ナラティヴのアプローチをベースとしたカウンセリングを提供することに加え、カウンセラーのトレーニングや、研究を含む様々な協働事業を実践していくなど、幅広い活動のための総合的な拠点として設立されました。中でも、NPACCでは、大きく3つの事業を柱に据えています。
1.カウンセリング事業
2.トレーニング事業
3.協働研究事業
4.その他の協働事業と知の公共化
詳しい内容はこちらのページをご覧ください。
NPACC実践のベースとなるアプローチ
NPACCでは、その実践のベースに「ナラティヴ・カウンセリング」と呼ばれるアプローチを置いています。これは、オーストラリア人のマイケル・ホワイトとニュージーランド人のディヴィッド・エプストンという2人のセラピストの貢献を中心に形作られた治療的枠組みです。ナラティヴの・カウンセリングは、実践に対する哲学的、思想的なスタンスを大切にしており、簡単に定義、説明することは難しいのですが、ここではナラティヴが大切にしている考え方や魅力的なアイディアの数々を紹介していくことで、私たちの姿勢や取り組みについてできる限りお伝えしたいと思います。
スターティングメンバー(Starting Members)
Katsuki Yokoyama
横山克貴
臨床心理士 東京大学大学院教育学研究科
Yoko Shirasaka
白坂葉子
臨床心理士 鹿児島大学大学院臨床心理学研究科卒
Kinuko Asano
浅野衣子
キャリア開発カウンセラー キャリアコンサルタント 同志社女子大学卒
Minoru Fumikawa
文川実
公認心理師 1級キャリアコンサルティング技能士
Koichi Yamaki
八巻甲一
キャリア開発カウンセラー
Yukari Barnard
バーナード紫
翻訳家 コミュニティ通訳士 ロンドン大学教育研究所修士課程卒
Noriko Hiraki
平木典子
臨床心理士 統合的心理療法研究所(IPI)所長 アメリカ合衆国ミネソタ大学大学院教育心理学修士課程修了
Yasuji Ozawa
小澤康司
臨床心理士 立正大学教授 NPO法人日本キャリアカウンセリング研究会会長
Kou Kunishige
国重浩一
臨床心理士 NZカウンセラー協会員 ワイカト大学カウンセリング大学院卒
コラボレイティヴ(協働)パートナー(Collaborative Partners)
Masahiro Nochi
私の専門である質的心理学研究のジャンルにおいても、ナラティヴをめぐる研究は非常に重要な位置を占めています。研究と実践は常に相互に刺激しあいながら「手をとりあって」発展していくべきものなのですが。その意味でも、ナラティヴ実践の拠点が今日本にできることは、誠に喜ばしい限りです。この貴重な機会を十分に生かし、研究者と実践者の間で学び合う対話の輪が、今後さらに広がっていくことを期待します。
能智正博
東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース教授 臨床心理士
Hatsuho Ayashiro
敬意と尊重を失わずに人と関わる。ここに光を見ているのが、ナラティヴセラピーであると私は考えています。この明らかに望ましく、しかししばしば非常に脆弱で、だからこそ誰もが(時に諦めを抱きつつも)心のどこかで願ってやまない関係性を、活動を通して確固たる現実にしていくこと。私がナラティヴ実践協働研究センターに対して抱いている期待は、ここにあります。他者に敬意を払うことの可能性を感じられる活動になるのではないかと、楽しみにしています。
綾城初穂
駒沢女子大学心理学類講師 臨床心理士
Hikaru Okuno
奥野光
臨床心理士 ナラティヴ・セラピスト 翻訳家
Eiko Adachi
ソーシャルワーク分野でのナラティヴ・プラクティスに関心をもってこれまで仕事を進めてきました。そのなかで、面接としてのナラティヴ・セラピーにとどまらず、対人支援職のあり方やチーム・多職種の連携自体が「ナラティヴになる」ことを支えていきたいと考えるようになっています。マイケル・ホワイト「物語としての家族」が翻訳されてからはや四半世紀、ゆるやかにつながり更新し合いながら、また新しい風景に出会えることを期待しています。
安達映子
立正大学社会福祉学部教授 臨床心理士
海外からのメッセージ(Messages from Overseas Narrative Therapists)
John Winslade
I am thrilled to hear of the development of the NPACC in Japan. I have fond memories of Yukari Barnard and Kou Kunishige in New Zealand and I think their leadership will be crucial. I have spent one week in Japan and it was wonderful. I met lots of good people there. Narrative practice is built on more than being a wonderful person however. It is a willingness to think outside of dominant discourse and to inquire with curiosity into what can be found there. I am grateful that there are people in Japan who are willing to do that. Many people who consult them will be grateful for it. My hope is that the NPACC continues to flourish. I look forward to hearing about its growth.
日本におけるNPACCの設立を聞いて感動しています。ニュージーランドでの浩とユカリはよく覚えていて、二人のリーダーシップは重要だと感じます。私は日本で一週間過ごしたことがあり、多くの良き人々にあいました。しかし、ナラティヴの実践は、良き人々だけでは成り立ちません。支配的なディスコースの外側に立ち、そこから見えるものを好奇心を持って探索する必要があります。日本の多くの人々にその意図があることをたいへんうれしく思います。相談に来る人たちは有難く感じることでしょう。NPACCの発展と成長を楽しみにしています。
ジョン・ウィンズレイド
カリフォルニア州立大学 サンバーナーディノ校 教育学部
特殊教育/社会復帰/カウンセリング学部 教授
Elmarie Kotze & Paul Flanagan
We have enjoyed meeting and working with groups of practitioners from Japan over the last three years, when they come to Hamilton, New Zealand, for their week-long workshops. We join with NPACC in your excitement for this new development of sharing and supporting narrative practice in counselling and psychology. We hope to continue these links in the future, and look forward to working with the group who are coming in 2019. Congratulations on this new venture, and for the further collaboration this will provide.
過去3年にわたって、ワークショップのためにニュージーランドのハミルトン市を訪れた日本からの実践者に出会い、共に働くのは楽しいことでした。NPACCの設立とカウンセリングや心理学におけるナラティヴ実践の支援に参加することに興奮を覚えます。2019年のグループとの学習を楽しみにしており、このつながりが将来も続くことを望みます。この新しい一歩、そしてこの組織が提供するさらなる協働に祝福を。
エルマリー・キャッツ
ワイカト大学 教育学部 カウンセラー教育ディレクター
ポール・フラナガン
ワイカト大学 教育学部 カウンセラー教育准教授
Michael Williams
What a great initiative Kou and Yukari. A centre devoted to Narrative practice and co-research! You have pursued a dream to promote this unique and transformative approach throughout Japan and the world beyond. I appreciate the tremendous effort and courage that you have made to make Narrative Conflict Transformation and narrative therapy more widely known and accessible to many more people. Your dedication to translating text and books have opened up the narrative approach to the Japanese people and I know how well narrative therapy resonates with your values and beliefs about family, social justice and hope. I believe that your audience will be excited to be a part of this project and will continue the work that you have begun and contribute to this expanding body of knowledge and practice.
ナラティヴ実践と協働研究のためのセンターとは、素晴らしい取り組みですね。この特別な、変化を招くアプローチを日本に広める夢を追っているのですね。ナラティヴによる対立解消とナラティヴセラピーをより多くの日本の人々に伝えようとする努力に敬服します。それは家族や社会正義、希望によせる皆さんの価値観や信条と共鳴するものです。ここで始まる知識と実践の集団がますます拡張しますように。
マイク・ウィリアムズ
エッジウォーター・カレジ(オークランド) 生徒相談室主任
『いじめ・暴力に向き合う学校づくり』著者
Donald McMenamin
The vision that Kouichi, Yukari, Kinuko, Yoko and Katsuki have for a counselling centre in Tokyo, together with their friends and colleagues, is very exciting to me. NPACC will be a place where the best of narrative practice can be explored, learnt and developed with a special emphasis on a unique Japanese perspective. I expect that the work of those involved with NPACC will go on to contribute significantly to the international study and practice of narrative therapy. I gladly support this project!
国重浩一を始めとするメンバーによる東京でのカウンセリング・センター設立のビジョンは、私にとってすごくエキサイティングなものです。NPACCは、優れたナラティヴ実践が日本固有の視点をもって探求され、学習され、発展する場所になるでしょう。NPACCの活動は将来ナラティヴ実践の国際的な研究にも寄与することでしょう。このプロジェクトを心から支援します。
ドナルド・マクミナマン
ナラティヴ・セラピスト スーパーバイザー
『二つの島とボート(仮題)』著者
Jenny Snowdon
I would very much like to encourage the interest and dialogue that your group is aspiring to in making the connections with each other that this initiative anticipates. Your inclusion of me in your lives and this enterprise is a great joy to me.
この新しい取り組みが作り出す相互の繋がりを期待し、皆さんのグループの興味と対話を応援したいと思います。皆さんの生活とこの取り組みに私を含めてくださったことは、とても大きな喜びです。
ジェニー・スノードン
ナラティヴ・セラピスト スーパーバイザー
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