えぬぱっくの本棚(8冊目)『道で社会構築論に出会ったら』

ナラティヴ・セラピー・アドバンスト・ワークショップ 2026(前期)
2025-11-14
ナラティヴ・セラピー・アドバンスト・ワークショップ 2026(前期)
2025-11-14

えぬぱっくの本棚(8冊目)

道で社会構築論に出会ったら:仏教との対話
ケネス・ガーゲンとダイアン・マリー・ホスキング

 

 社会構築論とその実践は、ポストモダーンの思想を背景に持ちますが、日常的なものの見方と異なることから、理解することが難しいことがあります。

 ガーゲンの「関係から始まる」(原著は2009年出版)の最後の部分に、社会構築論と仏教の類似性についての言及を見つけ、私(佐藤衛)は何か懐かしいものと繋がった感覚を持ちました。

 この点について、もう少し具体的に知りたいと思っていたところ、今回紹介するガーゲンとホスキングの対話に出会いました。ここでは、社会構築論と仏教の考えの親和性が深いレベルで説明されています。

 この対話を通じて、西洋の思想だけではなく、歴史的にも文化的にも日本に馴染みのある仏教思想から社会構築論にアプローチすることができます。また、ガーゲンらの提唱する社会構築論とナラティヴ・セラピーの類似性と違いについても、あらためて考えることができるように思います。

 ご関心のある方、ぜひご参加ください。

※ この対話の原題は“If You Meet Social Construction Along The Road: A Dialogue With Buddhism”です。これはMaurits G.T. Kwee, Kenneth J. Gergen & Fusako Koshikawa:“Horizons In Buddhist Psychology” (2006)の20章にあるものです。

※ このタイトルは、「臨済録」の「道でブッダに出会ったら、ブッダを殺せ」という言葉から来ており、その意味は本論で説明されています。

■「えぬぱっくの本棚」について

 カウンセリングやセラピーに取り組む中では様々な書籍や文献に出会うことになると思います。そうして魅力的な本に出会った時、その本の中身や、そこから着想を得て膨らませたアイデアを、誰かと話したくなった経験は誰にもあるのではないかと思います。NPACCでも、しばしばオフの時間にそうした会話が展開するのですが、この会話をもう少し広げてみることはできないだろうか、と思いました。そこで、その時々に出会い、魅力を感じた書籍や文献をシェアし、興味を持った人たちで会話を広げていくような機会を作ってみたいと考えています。

 取り扱う書籍や文献は、NPACCの興味関心上、ナラティヴ・セラピーに関係するものや、近い領域のものになると思いますが、それに限らず大切さや興味深さを感じたものがあれば積極的に取り組んでいきたいと思います。

 形としては、プレゼンターが、読んで惹かれた、あるいは発想を膨らませた本の内容をみんなで読んだり、プレゼンターが説明したり、考えたことをシェアしたりしつつ、小グループでのディスカッションなどを通して、参加している人たちで、それを基に会話できる時間を設けていく予定です。

 平日夜に2時間半ほどの時間で開催してみようと思っています。連続講座のようなものではありませんので、1回ごとにお申込みいただけます。なお、このイベントの開催は、本との出会い次第ですので不定期になります。

 参加したかったけど時間が合わなかったという人のために、その時のプレゼンテーションを録画して、後日視聴もできる形を作っておきたいと思います。

■ 今回扱う書籍・文献

道で社会構築に出会ったら:仏教との対話
ケネス・ガーゲンとダイアン・マリー・ホスキング

■ 論文の要綱

仏教の教えの起源は2,500年以上前にさかのぼります。一方、社会構築論が理解できるようになったのはここ数十年のことです。仏教の教えは、古代の文化環境の中に根ざしており、しばしば伝統的なものと考えられています。それに対して、社会構築論は、世界が急速にグローバル化、ポストモダン化するなかで生まれたものです。つまり、社会構築論は、何が現実であるか、何が合理的で、道徳的に良いことなのかという問いに関して、複数の表現があることが意識されるなかで発展したものです。それにも関わらず、この二つの考えは、その主要な前提や意味合いにおいて驚くべき共通点が見られます。私たちは、特に、その意味が不確定で状況に依存する現実、構築的あるいは非実体的な自己、そして究極的なものでありながらも表現不可能な関係性について、両者の説明の交わる点や緊張関係を探求します。どちらの考え方も、個人だけでなく、社会や世界のウェルビーイングに貢献する実践を育むことに深く関わっています。結局、重要なことは、特定の言葉や理論的な定式化ではなく、それらが促す、あるいは誘発する実践の形態です。

■ 論文の入手方法

本論文が収録されている書籍は、Taos Instituteのホームページから無料で入手することができます。

※参加方法および資料の入手方法について:本プログラムに申込完了後、Peatixにログインしていただき、「マイチケット」を選択してください。本イベントのチケットにある「イベントに参加」ボタンを押しますと、参加にあたって必要な情報(ZOOMアドレスと資料のダウンロード先)が表示されます。本論文の翻訳は、準備ができ次第アップしますが、プレゼンテーション資料は、イベント開催の数日前ぐらいまでにアップする予定です。

日時:2026年2月5日(木)19:30~22:00
開催形式:オンライン(ZOOM)
今回のプレゼンター:佐藤衛
ファシリテーター:国重浩一、白坂葉子、横山克貴
当日参加チケット、及び録画視聴券:¥3,850(¥3,500+税)
参加枠:45名ほど
*録画視聴可能期間は、3か月程となります。

申込先:https://npaccnohondana202602.peatix.com

領収書について:Peatixでは、「インボイス制度に対応した適格請求書の発行」ができるようになりました。詳しくは次のリンクをご覧ください。https://help-organizer.peatix.com/ja-JP/support/solutions/articles/44002459755-%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%82%A4%E3%82%B9%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AB%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E3%81%97%E3%81%9F%E9%81%A9%E6%A0%BC%E8%AB%8B%E6%B1%82%E6%9B%B8%E3%81%AE%E7%99%BA%E8%A1%8C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

主催:ナラティヴ実践協働研究センター